【データ分散からの脱却】スマートなギャラリー運営へ
REIJINSHA GALLERY
東京都中央区日本橋に拠点を置くREIJINSHA GALLERYは、セキュリティ面の不安や属人化などの課題を抱える中、2023年末にArtXCloudを導入。点在していた作品データを一元管理することで、同時作業が難しかった業務フローを大きく変革しました。今では「これがないと始まらない」と語るほど頼りにしているそうです。そこで今回は、ギャラリースタッフの皆様に導入前後で起きた変化を伺いました。

作家ならではの個性とエネルギーを重視
――まずギャラリーの特徴やコンセプトについてお聞かせください。
1993年に大阪で創業した株式会社麗人社が母体で、「社会と美術界の架け橋になること」を理念に、美術展覧会や美術書籍の出版などを中心に展開してきました。ギャラリーとしては2010年に銀座でスタートし、現在は日本橋本町に拠点を構えています。スタッフは4名で、各々が経理などの業務も幅広く担いながら運営しています。
――作品選びや展示で大切にしていることは?
時代の流れに左右されず、その作品にある普遍的な「個性」と、そこから伝わってくる「エネルギー」を大事にすることです。作品の世界観を最良の形で伝えられるよう、展示方法は作家と相談しながら決めています。
――作品を選ぶ基準について伺えますか。
スタッフ自身が心を動かされるか、この作品が「欲しい!」と心から思えるか、ですね。ギャラリーとしてジャンルや技法は特に制限しないで、魅了された作品だけを取り扱うことで、作家や顧客の層も広がっているように感じます。スタッフも日々目を肥やしながら、知識を重ねています。

複製機能の活用で登録作業が90分→45分に
――ArtXCloud導入のきっかけについて伺えますか。
当時使っていたツールのセキュリティ面に脆弱性があり、オンラインストアで扱う個人情報のリスクが気になっていました。さらに作品画像や顧客リストがExcelなどに散在し、管理が属人的になりがちだったんです。そんなときArtXCloudを偶然紹介していただいて、「セキュリティ面はもちろん、運営業務を一元化できるなら導入すべきだ」と判断しました。
――導入時は大変でしたか?
各ツールに点在していたデータや画像を移す作業は、正直なかなか大変でした。しかし手厚くサポートしていただいたおかげで、終わってみると「今やっておいてよかった!」と思えます。いずれ必要になる作業でしたし、思い切ってできたので助かりました。
――現在の利用頻度は。
毎日です。ArtXCloudがないと始まらないくらいですね。在庫や顧客情報、作品の取引履歴などを、4人全員で共有しながら回しています。以前使っていたツールは複数名の同時ログインができず「誰かが使っているから他の人が入れない」というストレスがありましたが、ArtXCloudではそうした問題がなくなりました。
――特に便利だなと感じている機能があれば教えてください。
同じ作家の作品を複数登録するときに使う「データ複製機能」です。今までは一つずつ情報をコピペしていたので、30点の作品登録に90分かかることもありましたが、現在は45分くらいで完了します。似たサイズや価格の作品も多いので、本当に効率的ですね。

「あの人じゃなくてもできる」属人化を手放せた理由
――導入後、他に感じた変化があればお聞かせください。
業務の属人化がぐっと減りました。例えば「この作品をどなたが購入したのか」を調べるとき、特定のスタッフの記憶に頼っていたのが、今は登録データから購入者をすぐに探せます。「あのスタッフじゃないと分からない」という状況がなくなり、誰でも必要な情報にたどり着けるのが大きいです。
――日頃の接客や運営業務に影響はありますか?
あります。前は「今のうちに作業を終わらせなきゃ」と焦って、お客さま対応を他の人にお願いする場面がありました。しかしArtXCloud導入後は「あとでサクッとできる」と思えるので、気軽に動けるようになりました。自由度が増して、接客の質も上がったと感じています。
――心理的にも時間的にも余裕が生まれたのですね。
そうですね。企画ミーティングに時間を回せるようになったのは嬉しい変化です。 また、単純作業を見直す余裕ができたことで、現場を見渡しながらより効率的な方法を考えられるようになりました。全体的にスマートに動けていると感じています。

アートに限らず「一点もの」を扱う業種にもおすすめ
――今後、ArtXCloudに期待することは?
作品送料の自動計算ができて、販売時に自動加算されるようになるとありがたいです。それが可能になれば、ArtXCloudがグローバル展開するうえでも強みになるのではないでしょうか。ほかにもメッセージ機能で定型文が登録できるようになれば、日々のやり取りが一層スムーズになると思います。日々使ってるからこそ、どんどん要望が出てしまいます(笑)
――ArtXCloudはどんなギャラリーにおすすめですか?
私たちのように、業務がいろいろなツールに分かれていたり、少人数で幅広い業務をこなしているギャラリーにはぴったりです。アートに限らず、着物や宝石などの「一点もの」を扱う業種なら同じような効果が得られるのではないかと思います。

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